結論
一定の範囲であれば問題ありません。
説明
別居する際に、今後の生活を考えて預金を引き出すことはよくある事案です。
まず、夫婦間での窃盗や横領は罰せられません(刑法244条、257条)ので、犯罪になることはありません。結局、お金の話しですので、後から清算をする問題になります。
別居時の預貯金の引き出しは、婚姻費用の先払い、もしくは財産分与として清算を行うことになります(どちらでも同じことです)。
引き出し額ですが、全額ではなく、残っている預貯金の半分を目安にしましょう。これは、夫婦共有財産の範囲(財産分与でもらえる範囲)にしておくと後から支払いを求められる可能性が小さくなるためです。この範囲であれば、違法性を有することもないでしょう。
なお、別居後、夫側から、「横領だ、警察に言う、すぐに全額返せ」と主張するケースがありますが、上記の理由から拒否してかまいません。
中には、夫の通帳を持って別居するケースがあります。通帳を持っていればいつでも引き出せるから生活費には困らないと思うかもしれませんが、夫名義の通帳であれば夫が銀行に行って口座を止めることは可能ですし、給与の振込口座を変えることも可能です。ですので、通帳を保有するメリットはないので、通帳とキャッシュカードは返したほうが良いでしょう。その際に現金として引き出すことは前述のとおり問題ありません。
これからの生活費が不安なんです、という声をよく聞きますが、前述のように口座を止められたら終わりです。婚姻費用として請求をしましょう。