自賠責とは

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自動車損害賠償責任保険

自動車損害賠償保障法によって、自動車および原動機付自転車を使用する際に、全ての車の所有者に加入が義務づけられている損害保険です。俗に「強制保険」といわれます。

全ての自動車保有者が自賠責保険に加入することで、「最低限の損害賠償金」を直接受け取ることができます。被害者の救済になります。

保険金の支払いは、支払い基準に基づいて画一的に定められています。

加入しなかったら?

自賠責保険に加入しないまま、自動車や原動機付自転車を運行させた場合は『無保険運行』となり、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられます。また、道路交通法上の違反点数6点が加算され、即運転免許証停止の行政処分になります。

支払金額は?

交通事故において被害者に過失がある場合であっても、一定の過失割合までは減額を認めず、損害に対する保険金は100%支払われます。過失相殺を行わないことで被害者の最低限の救済を行っています。過失割合が70 %以上となる場合は重過失減額がなされます。過失割合が100%になると、加害者に責任はなく、自賠責から保険金の支払いはなされません。

重過失減額

傷害に関する保険金は、70%~90%まで20%減額になります。

死亡・後遺症に関する保険金は70%で20%減額、80%で30%減額、90%で50%減額となります。

100%に達すると、自賠責からの保険金の支払いはありません。

計算方法としては、各限度額までは損害額に減額がなされます。限度額に達した場合は限度額から減額がなされます。

支払最高額は?

  • 傷害に関する保険金

被害者1人につき上限120万円までが支払われます。

治療費(診察料、手術料、投薬料、入院料等)、入院雑費、通院交通費、近親者付添費、文書料(診断書、診療報酬明細書、交通事故証明書、印鑑証明書等の発行手数料)、休業損害、入通院慰謝料 が対象になります。

休業損害は日額6100円、入通院慰謝料は日額4300円になっています。

  • 死亡・後遺症に関する保険金

後遺症が生じた場合には、障害の程度に応じて逸失利益と慰謝料が支払われます。

自賠責保険の請求 | 弁護士による交通事故のトラブル解決 より

死亡事故の場合は、被害者1人につき3,000万円が支払われます。死亡への補償には、被害者の葬儀代、死亡によって失った逸失利益、本人と遺族への慰謝料が含まれます。

保険会社の一括払い

一括払いとは、加害者が任意保険に加入している場合、対人賠償保険会社(加害者保険会社)が自賠責保険金を含めて慰謝料などの損害賠償額を一括して支払い、その後、対人賠償保険会社が自賠責保険会社に対して加害者請求として求償を行うことです。この制度により、被害者は自賠責と任意保険会社に対する二重請求する手間が省けますので、被害者の救済になります。交通事故の処理では一般的に行われています。
交通事故で受傷した場合、加害者側の任意保険会社の担当者から連絡がきて、治療費や休業損害の支払い、示談交渉などの対応を行うのは、この任意一括制度に基づいています。

一括払い制度は、法律や保険約款に決められたものではありません。対人賠償保険会社のサービスとして行われるものです。そのため、まだ治療が不十分と感じても、治療を打ち切られることがあります。この場合には、原則に戻り、被害者が治療を継続して自賠責に対し、被害者請求を行うことになります。

そのため、一括払い対応において対人賠償保険会社から損害賠償金を払ってもらうには、損害賠償額を確定する必要があります。損害賠償額を確定する治療終了後になります。しかし、任意保険会社は、治療費等を先に支払いますし、休業損害等を先行して支払うことがあります。これを内払といいます。

事前認定

対人賠償保険会社は、被害者に対して支払いをする前に、自賠責保険会社に、自賠責保険会社が加害者の賠償責任を認めるのか、被害者に重過失減額があるのか、後遺障害の有無及びその程度に対して自賠責保険会社に調査を依頼し確認します。これを事前認定といいます。

事前認定で後遺障害等級が認定された場合は、当該後遺障害の等級を前提に示談交渉を行います。認定を行うのは、損害保険料率算出機構という団体です。なお、裁判所は損害保険料率算出機構の判断に拘束されないため、訴訟においては独自に後遺障害の判断を行います。

加害者が保険に加入していない場合や加害者不明な場合は?

被害者は自賠責保険による損害賠償を加害者から受けられない。そのため、被害者を救済するため、自動車損害賠償保障法に基づき政府が自賠責保険の支払基準に準じた損害額を被害者に支払います。これを、自動車損害賠償保障事業(政府保障事業)といいます。政府による損害賠償金の立替払いであり、後から加害者に請求をすることになります。損害保険会社であれば、どこの窓口でも政府保障事業に対する被害者からの請求を受け付けています。