Q 通院期間3か月です。保険会社から提示がありました。示談しても良いですか?(過失0)専業主婦・32歳です。

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質問

交通事故に遭いました。私の過失は0%です。整形外科に月に2回(合計6回)、接骨院に週に2回(合計24回)通院しました。保険会社から30万円の提案書がきました。この金額で示談しても良いでしょうか?ちなみに弁護士費用特約に加入しています。

回答

自賠責の最低基準

まず、自賠責の最低基準額を確認しましょう(加害者の保険会社はあなたに賠償金を支払った後、自賠責から回収していますので、その範囲であれば全く損をしていないことになります)。

自賠責の基準では、➀治療開始から治療を終えた日までの全治療期間、➁実際に通院した日数の2倍の少ない方を対象日数とします。

➀前治療期間は3か月なので90日、➁通院日は30日なので2倍にした60日となります。

ですので、少ない方である➁が採用され、60日×日額4300円=25万8000円となります。

交通費が数千円含まれていることから、自賠責より3~4万円程度多い金額になります(実質はこの分が加害者の保険会社が負担している金額ということです)。

要注意!!主婦の休業損害(家事従事者)

このような提示はよくあるのですが、「主婦の休業損害」を全く加味していない、提案になります。こちらから言わないと払ってこない代表例です。自賠責から最後に回収できる=保険会社の損はないのに…この場合は、必ず弁護士に依頼しましょう。別にこのサイトで依頼する必要はないので、近くの弁護士、ネットで検索した弁護士に依頼しましょう。単純に損です。

主婦の休業損害とは、主婦業も労働であると解されており、主婦(家事従事者)が家事を休まざるを得なくなった場合に発生する休業損害になります。

主婦の休業損害も自賠責と弁護士基準に分けることができます。

自賠責では、通院日数×6100円で計算します。あくまで通院日数です。今回は通院日数が30日なので、18万3000円になります。

じゃあ弁護士が介入したら?

弁護士介入後の金額

裁判基準では、「1日あたりの休業金額 × 休業日数」で計算しますが、自賠責とは大きくことなります。

休業金額は、平均賃金(賃金センサス)を用いて判断します。令和5年度・女性・学歴計・32歳の平均賃金は、3,978,200円になります。

そうすると、1日あたりの賃金は1万0899円になります。自賠責と一日当たり4799円の差がでます。これだけでも大きいですね。

休業日数については、自賠責と同じように通院した日数で計算することもありますが、家事労働って毎日行いますよね。そう考えると、通院期間、つまり怪我を負って症状が固定するまでの期間中労働が制限されたと考えることができます。なので、通院期間で計算することもあります。だいたい、提案は最高額でいくので、これですることが多いですね。

そうすると、提案額は10,899円×(通院期間)90日=98万0910円になります。

ただし、このまま受け入れる保険会社はまずないです。全日を休業と考慮できるのは、入院していた場合や傷害がよぽど思い場合でしょう。この場合は、動けないので労働は0ですよね。むち打ちのような限定的な傷害の場合、保険会社は期間ごとに減額する交渉をかけてきます。例えば、最初の30日は70%制限、残りの30日は30%制限といったように、徐々に労働能力が回復したとして計算をしていきます。実際の訴訟でもこの判断は全然あるので、合理性はあります。

弁護士は、ギリギリをせめて交渉していくことになります。互いに少しづつ刻んで妥協点を見つけていきます。

例えば、妥当なラインである全日50%制限という和解をしたとすると、10,899円×(通院期間)90日×50%=49万0455円になります。これでも自賠責と比較すると、30万7455円の差がでます。

慰謝料の金額

こちらの記事で書いてます Q 通院期間3か月です。保険会社から提示がありました。示談しても良いですか?(過失0)

弁護士が介入した場合、裁判基準が適用され、通院期間90日だと53万円になります。実際は、90%で示談することがほとんどなので、47万7000円になります。

そうすると、和解金額は、慰謝料47万7000円+休業損害49万0455円=96万7455円になります。保険会社の提案額が30万円ですので、

そのまま示談すると、66万7455円損していることになります。

もらえる賠償額が3倍を超えてきます。

女性で交通事故に遭った場合、必ず弁護士に依頼しましょう。少なくても相談しましょう。

保険会社の提示額で示談した場合はそのまま保険会社の利益です。単純に損をしてるだけです。

弁護士費用特約

弁護士費用特約というのは、あなたが加入している保険会社が無料で弁護士費用を負担してくれるという制度です。無料で弁護士に依頼できるので、交渉で上げた賠償額は全て依頼者が獲得することになります。

交渉だけであれば、早ければ1か月以内、遅くとも3か月程度で示談がまとまります。

せっかく弁護士費用特約に加入しているのであれば、使わないともったいないです。

弁護士費用特約を利用できるかは Q弁護士費用特約を利用できる場合 を参照ください。

なお、一度示談してしまうと、もう交渉はできません。もちろん裁判もできません。示談をする前に必ず弁護士に相談しましょう。

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